月ノ下、風ノ調 - 【悪魔城二次創作】Pray 忍者ブログ
月風魔伝その他、考察などの備忘録。
こんな夜更けにこんばんは。

ブログを書くのを忘れたまま(訳:忙しくて手がつかなかっただけです)こんな時間になっていました。
また手抜きと言われそうですが、まだまだアーカイブはたくさんたまっているので、今回も悪魔城から小話をひとつ。
「君の名は」でもやりました、呪印のヘクターとロザリーのお話というか、何というか、それっぽい短文です。



祈りを捧げよう。
君がいつでも笑顔でいられるように。

「ヘクター」

祈りを捧げよう。
鈴の音色、鳥のさえずりにも似た君の声が、いつまでも途切れることなく響くように。

闇の中に身を閉ざしていた俺を救ってくれた君が、幸せでいられるように。


「ヘクター。足元……」

声に足を止めると、革靴のすぐ傍に白く小さな花がいくつも見えた。
あと少し足を下ろす場所を間違えていたら、無慈悲に踏み潰してしまっていただろう。
ぎこちなく離れた俺を見て、いつものように君は微笑んでいた。

「鈴蘭……君とまた見られた……な」

懸け橋になる何かが欲しくて、思わずつぶやいた言葉が宙に溶ける。
君と出会ってから、陽が何度落ちて沈んだのか、わからないほど長い時を過ごした気がする。
それでいて、つい昨日逢ったばかりのような、不思議な心地も感じていた。
死体と勘違いされて、木の枝で突かれた頬の感触がふと蘇る。
今では、いい笑い話だ。

「毒にも薬にもなるって……日陰で小さくてもきれいに咲くわ……踏まれないでね……」

ああそうだ、君は俺だけではなく、誰にだって優しい。
無実の人間が裁かれるこの呪われた世に、一片の希望を持って生きている。
皆、幸せになりたいだけ、と君は言葉を紡いだ。
俺に生まれて居てくれてよかった、と君は笑みをこぼした。

かつて人間を混乱に陥れた男が、今更何を、と誰に言われようとも。
君が願う平和を、俺が一緒に願うことを、君が笑顔で赦してくれたなら。


祈りを捧げよう。
限りのある人として、永遠に一緒という絵空事は叶わないとしても。

せめて、いつか別れる時が来ても、その時は笑顔でいられるように。

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