月風魔伝その他、考察などの備忘録。
皆さんこんばんは、九曜です。
このところ順調にアーカイブを増やしていますが、今日の作品はオレカバトルの魔海将フィスカの話です。
創作するにあたって、基本的に「書きながら設定ができあがる」タイプの人間なので、この話を書く前にはフィスカの生い立ちなどもちゃんと考えていませんでした。
書きながら「こうかも」「こんなだったかも」…という軌道修正を経て、できあがります。
タイトルを見てわかるのですが、この話においてフィスカは、齢600歳以上の悪魔という設定になっています。
それ以外の「自宅設定」も全部ぎゅうぎゅうに詰め込んでいるので、よかったら見てやってください。
今回の記事作成とともに「オレカバトル:創作」のカテゴリを増やしました。
また細分化が必要になってきたら、その時にカテゴリを整理しようと思います。
このところ順調にアーカイブを増やしていますが、今日の作品はオレカバトルの魔海将フィスカの話です。
創作するにあたって、基本的に「書きながら設定ができあがる」タイプの人間なので、この話を書く前にはフィスカの生い立ちなどもちゃんと考えていませんでした。
書きながら「こうかも」「こんなだったかも」…という軌道修正を経て、できあがります。
タイトルを見てわかるのですが、この話においてフィスカは、齢600歳以上の悪魔という設定になっています。
それ以外の「自宅設定」も全部ぎゅうぎゅうに詰め込んでいるので、よかったら見てやってください。
今回の記事作成とともに「オレカバトル:創作」のカテゴリを増やしました。
また細分化が必要になってきたら、その時にカテゴリを整理しようと思います。
自分は、獰猛な回遊魚の鰭から生み出されたのだと聞かされた。
生まれた時からこの姿で、親兄弟もなく、氷の魔力を持った悪魔として造られた。
回遊魚の鰭は生前の記憶を覚えているようで、泳ぐことから、呼吸ひとつから学習する必要もなかった。
私を造った者は、すぐに寿命で死んだ。私はたちまち、独りになった。
深い魔海の片隅に、溶けるような水色の体で佇む自分は、何のために「生きる」のかと時々、考えた。
この星に住む生き物は、私より皆、寿命が短いらしい。
どこからか流れてくる水死体は、日によっては二桁を数えた。
生存競争に負け、食われて骨だけになった魚。海で生きる水棲動物の死骸。
それだけではない、時には地上を棲家とする人間さえ、無残な姿で流れてきたものだ。
この魔海は、神秘に満ちている。
それゆえ、スリルや冒険を求めて、命を投げ出す者も後を絶たないらしかった。
人間が時々ここへ流れてくるのは、そのせいなのだろう、と思う。
目下の珊瑚が白く死に絶え、それでも私は生き続けた。
死体を数えるのも馬鹿らしくなり、しかしなお私は生きなければならなかった。
生きる理由もないが、死ぬ理由もない。いや、生きているという実感すらない。
死んでいないだけで、生きてすらいないのかもしれない、などと、ぼんやり心に思う。
なぜ私はここに、氷の魔力を持って、長命の悪魔として存在しているのか?
答える者はそこにおらず、ただ近く遠く、泡の音だけが耳に届く。
私が造られてから、六百年の時が過ぎた。
数えていたわけでも、そこに暦があったわけでもない。目の前に突如現れた魔王が告げた年数で、それを知った。
魔王……アズール様は、魔海を掌握するため、私に部下になるよう打診してきた。
魔海の片隅に、強力な氷の魔力を秘めた悪魔がいると聞き、それを私のことだと言ってきた。
ああ、ようやく、私の「生きる」意味が見つかった。
跪きながら、口の中でそう呟く。
アズール様が、私の名前を問いかけてきた。私は言葉に詰まった。
すぐ死んだ「造り手」も含め、誰も私の名を教えてはくれなかった。
私は私であり、それまで名前を得る必要もなかった。
私には生来名がありません、と告げると、アズール様は驚く様子もなく、私に名をくれた。
「そうだな……お前の名前は、フィスカだ。どうだ?」
その日から私は、アズール様の部下、魔海将フィスカとして仕えることになった。
私のためと誂えてくれた、両刃の直槍を手にした時、初めてその実感が湧いたものだ。
アズール様の敵を退ける矛であり、盾であるために……。
私は「生きる」ことを始めた。
生まれた時からこの姿で、親兄弟もなく、氷の魔力を持った悪魔として造られた。
回遊魚の鰭は生前の記憶を覚えているようで、泳ぐことから、呼吸ひとつから学習する必要もなかった。
私を造った者は、すぐに寿命で死んだ。私はたちまち、独りになった。
深い魔海の片隅に、溶けるような水色の体で佇む自分は、何のために「生きる」のかと時々、考えた。
この星に住む生き物は、私より皆、寿命が短いらしい。
どこからか流れてくる水死体は、日によっては二桁を数えた。
生存競争に負け、食われて骨だけになった魚。海で生きる水棲動物の死骸。
それだけではない、時には地上を棲家とする人間さえ、無残な姿で流れてきたものだ。
この魔海は、神秘に満ちている。
それゆえ、スリルや冒険を求めて、命を投げ出す者も後を絶たないらしかった。
人間が時々ここへ流れてくるのは、そのせいなのだろう、と思う。
目下の珊瑚が白く死に絶え、それでも私は生き続けた。
死体を数えるのも馬鹿らしくなり、しかしなお私は生きなければならなかった。
生きる理由もないが、死ぬ理由もない。いや、生きているという実感すらない。
死んでいないだけで、生きてすらいないのかもしれない、などと、ぼんやり心に思う。
なぜ私はここに、氷の魔力を持って、長命の悪魔として存在しているのか?
答える者はそこにおらず、ただ近く遠く、泡の音だけが耳に届く。
私が造られてから、六百年の時が過ぎた。
数えていたわけでも、そこに暦があったわけでもない。目の前に突如現れた魔王が告げた年数で、それを知った。
魔王……アズール様は、魔海を掌握するため、私に部下になるよう打診してきた。
魔海の片隅に、強力な氷の魔力を秘めた悪魔がいると聞き、それを私のことだと言ってきた。
ああ、ようやく、私の「生きる」意味が見つかった。
跪きながら、口の中でそう呟く。
アズール様が、私の名前を問いかけてきた。私は言葉に詰まった。
すぐ死んだ「造り手」も含め、誰も私の名を教えてはくれなかった。
私は私であり、それまで名前を得る必要もなかった。
私には生来名がありません、と告げると、アズール様は驚く様子もなく、私に名をくれた。
「そうだな……お前の名前は、フィスカだ。どうだ?」
その日から私は、アズール様の部下、魔海将フィスカとして仕えることになった。
私のためと誂えてくれた、両刃の直槍を手にした時、初めてその実感が湧いたものだ。
アズール様の敵を退ける矛であり、盾であるために……。
私は「生きる」ことを始めた。
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