月風魔伝その他、考察などの備忘録。
みなさんこんばんは、九曜です。
本日は余計な前置きもなく、オレカのお話のアーカイブです。
(タイトル見ればだいたい把握できるので、この前書きが必要かどうか、最近わからなくなってきました…)
前回もシビュラでしたが、今回もシビュラさんのお話。
お話自体はとても短いですが、該当イベントを遊んだ方にとっては、何とも言えない結末となっております。
大丈夫な方はお楽しみください。
本日は余計な前置きもなく、オレカのお話のアーカイブです。
(タイトル見ればだいたい把握できるので、この前書きが必要かどうか、最近わからなくなってきました…)
前回もシビュラでしたが、今回もシビュラさんのお話。
お話自体はとても短いですが、該当イベントを遊んだ方にとっては、何とも言えない結末となっております。
大丈夫な方はお楽しみください。
クラインの壺の光に導かれ、小舟を漕いで着いた先は、まるで自然物と思えぬ平らな地面の島。
そこへ足を踏み入れると、目の前の景色など俄かにかき消え、気付けば暗雲立ち込める空の下にいる。例え今が昼でも晴れていても、だ。
ひたすら平らな地面、支柱のようなものがいくつも立つ異空間に、その男は佇んでいた。
紫のローブ、フードを被った頭には、魔力を増幅するための飾り物。
ローブの端を縁取る、月の満ち欠けを模した帯。
まるで銀河を閉じ込めたようなローブの内側は、星をちりばめたように時折きらめき、眺めていると吸い込まれそうだ。
白い肌の目元に深く漆黒の影が落ち、しかしその奥の赤い瞳は、異様なまでの光を放っている。
「世界は、輪廻する。∞(むげん)に、繰り返す」
シビュラの言葉を受けて、三人の勇者はいずれも、怪訝な面持ちになる。
それを畏怖であると思い込んでいるシビュラは、分厚い予言書を右手に高く掲げ上げる。
背後に、巨大な永劫竜の姿――は、ない。
「ウロボロス……? どうしたのだ、私の言うことがわからないのか」
『何もない空間』に向かって声をあげるシビュラの姿は、悲痛にすら見えた。
永劫竜は滅び、予言は変わり、世界の輪廻は食い止められたのだ。
ただひとりこの島で『その時』を繰り返している、予言者シビュラを除いては。
シビュラに見えているウロボロスの幻影は、現実に何ら影響をもたらすこともできない。
ただ渦巻いて佇んでいるのだろうか、知る由もないが、シビュラは声を荒げる。
「お前も……お前も、私を裏切るというのか! これも予言だと!」
血走った目で予言書を開き、記述を読み返すシビュラの瞳には、何が映っているのだろう。
ページを勢いよく繰っていた左手が、唐突に止まった。
見開く目、震える指先で記述をなぞりながら、シビュラは叫ぶ。
「永劫の竜は……滅び……? 馬鹿な!? ありえぬ!!」
取り乱しはじめたシビュラが、過日の光景と完全に重なった。
ウロボロスを倒されたシビュラは、絶対の予言が崩壊したことで、狂ってしまったのだろう、と思う。
この男は、戦い始めてからウロボロスのいないことを知り、そのまま地に泣き伏すまでを、ここで繰り返し続けているのだ。
シビュラにとっての『予言』はそれほど重大なもので、まるで身を支える唯一の杖を失ったようであった。
何か声をかけても聞く耳すらもたず、閉塞した絶望の中で嘆き続けるシビュラに、勇者たちは踵を返すしかなかった。
泣き疲れて眠り、目覚めればまた、その傍らにウロボロスの幻を侍らせて――
小舟に乗り込み、岸にとめていた綱を解き、島を後にする。クラインの壺の光は、舳先と真逆の方を指している。
灰色の空と黒い海の間に吹く風は、誰かの落とした涙のように、塩からい味がした。
そこへ足を踏み入れると、目の前の景色など俄かにかき消え、気付けば暗雲立ち込める空の下にいる。例え今が昼でも晴れていても、だ。
ひたすら平らな地面、支柱のようなものがいくつも立つ異空間に、その男は佇んでいた。
紫のローブ、フードを被った頭には、魔力を増幅するための飾り物。
ローブの端を縁取る、月の満ち欠けを模した帯。
まるで銀河を閉じ込めたようなローブの内側は、星をちりばめたように時折きらめき、眺めていると吸い込まれそうだ。
白い肌の目元に深く漆黒の影が落ち、しかしその奥の赤い瞳は、異様なまでの光を放っている。
「世界は、輪廻する。∞(むげん)に、繰り返す」
シビュラの言葉を受けて、三人の勇者はいずれも、怪訝な面持ちになる。
それを畏怖であると思い込んでいるシビュラは、分厚い予言書を右手に高く掲げ上げる。
背後に、巨大な永劫竜の姿――は、ない。
「ウロボロス……? どうしたのだ、私の言うことがわからないのか」
『何もない空間』に向かって声をあげるシビュラの姿は、悲痛にすら見えた。
永劫竜は滅び、予言は変わり、世界の輪廻は食い止められたのだ。
ただひとりこの島で『その時』を繰り返している、予言者シビュラを除いては。
シビュラに見えているウロボロスの幻影は、現実に何ら影響をもたらすこともできない。
ただ渦巻いて佇んでいるのだろうか、知る由もないが、シビュラは声を荒げる。
「お前も……お前も、私を裏切るというのか! これも予言だと!」
血走った目で予言書を開き、記述を読み返すシビュラの瞳には、何が映っているのだろう。
ページを勢いよく繰っていた左手が、唐突に止まった。
見開く目、震える指先で記述をなぞりながら、シビュラは叫ぶ。
「永劫の竜は……滅び……? 馬鹿な!? ありえぬ!!」
取り乱しはじめたシビュラが、過日の光景と完全に重なった。
ウロボロスを倒されたシビュラは、絶対の予言が崩壊したことで、狂ってしまったのだろう、と思う。
この男は、戦い始めてからウロボロスのいないことを知り、そのまま地に泣き伏すまでを、ここで繰り返し続けているのだ。
シビュラにとっての『予言』はそれほど重大なもので、まるで身を支える唯一の杖を失ったようであった。
何か声をかけても聞く耳すらもたず、閉塞した絶望の中で嘆き続けるシビュラに、勇者たちは踵を返すしかなかった。
泣き疲れて眠り、目覚めればまた、その傍らにウロボロスの幻を侍らせて――
小舟に乗り込み、岸にとめていた綱を解き、島を後にする。クラインの壺の光は、舳先と真逆の方を指している。
灰色の空と黒い海の間に吹く風は、誰かの落とした涙のように、塩からい味がした。
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ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
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