月風魔伝その他、考察などの備忘録。
今日も元気に月風魔!
赤い武器縛り(血器縛りではない)をしたことがある九曜当主です。
月風魔伝では、主武器それぞれに幻の武具枠として「血器」シリーズが存在します。どれも名前に違わず真っ赤で、基礎攻撃力が高く、属性特効などの特殊効果も備えています。
武器名は必ず「血器〇(武器種)・××」となっているのですが、これらの名前をぼーっと見ていて、どうも植物の名前が多いようだと気づき。
詳しく全種調べてみたところ、両得物だけ「鷹羽」なのでこれは植物ではないな…からの「鷹羽なら、家紋にあったのでは?」という閃きから、今回の記事が作られました。
公式で特に言及されていない情報ですので、のちほど開発コメントが出てくれば覆る記事になるかもしれませんが、とりあえずそういう前提で考えてみたいと思います。
果たして、血器の名前は家紋がモチーフなのでしょうか?
赤い武器縛り(血器縛りではない)をしたことがある九曜当主です。
月風魔伝では、主武器それぞれに幻の武具枠として「血器」シリーズが存在します。どれも名前に違わず真っ赤で、基礎攻撃力が高く、属性特効などの特殊効果も備えています。
武器名は必ず「血器〇(武器種)・××」となっているのですが、これらの名前をぼーっと見ていて、どうも植物の名前が多いようだと気づき。
詳しく全種調べてみたところ、両得物だけ「鷹羽」なのでこれは植物ではないな…からの「鷹羽なら、家紋にあったのでは?」という閃きから、今回の記事が作られました。
公式で特に言及されていない情報ですので、のちほど開発コメントが出てくれば覆る記事になるかもしれませんが、とりあえずそういう前提で考えてみたいと思います。
果たして、血器の名前は家紋がモチーフなのでしょうか?
本日の参考文献
なんと今日は、偶然自宅に家紋に関する本があったので、こちらを参考に考えてみようと思います。これより詳しい学術書の類は持っていないので、不足情報はいつも通りWebに頼っていくつもりです。
ちなみに、Amazonなどのリンクを紹介するため調べてみましたが、古い本のようですので個人出品の中古が出回っており、書店系のネット注文などでは在庫切れしているようです。新書版などもあるので、興味がある方は中古で仕入れてみるか、古書店などを探すと見つかるかもしれません。
参考文献を携えたところで、各「血器」と対応しそうな家紋について、見ていきます。
血器刀・柏丸
参考文献:P95「柏紋」
柏手を打つ、という慣用句からわかるように、柏は掌のように大きな葉をもつ樹木です。早速引いてみると、ありました、柏紋。冒頭に鎌倉幕府の御家人・葛西清重のエピソードが書かれている他、護符として柏の葉が使われていた神社があること、漁業関係者の紋として多かった話などが書かれています。
刀と漁業はさほど関係がなさそうなので、戦の勝利を願い柏の葉を護符代わりに持って行ったという類の、おそらく武家関係のエピソードから拾われているのだと思います。
血器傘・鏡草
参考文献:P97「片喰紋」
鏡草、と言われてすぐピンとくる人は少ないかもしれませんが、鏡草は片喰(カタバミ)の別名です。ゆえに、この傘も片喰のように、3つの花弁がくっついたような形をしています。
参考文献には、優美な形が目を引くためか古くから文様として使われ、特に貴族の間で好まれた、という旨の記述がありました。柏紋の時と違い武家感はありませんが、そもそも傘は武器ではなく日用品であることから、貴族イメージの強いこの家紋が採用されているのかもしれません。
血器双刃・鷹羽
参考文献:P201「鷹・鷹の羽紋」
私が血器の名前の法則性が「植物ではなく家紋では?」となったきっかけです。いちおう、Webで調べてみると鷹羽薄(タカノハススキ)という植物も出てくるので、植物モチーフであった場合はそちらが由来の物でしょう。矢羽型の斑点があり、古くから庭園などに利用されている品種だそうです。
家紋の方は、参考文献の説明は数行程度ですが「鷹は鷹狩りに用いられ、尚武的。このため家紋に。」とあるので、主に武家が使う家紋だったと思われます。そういえば、戦国時代の太田さんちが鷹羽とか矢羽だったような。
血器棍・撲桐花
参考文献:P110「桐紋」
中国では梧桐が瑞鳥、鳳凰の集まる木とされ、瑞祥的であることから、特に身分の高い人物にもてはやされた家紋だそうです。五七の桐(中央が七枚葉、左右が五枚葉の桐)が太閤秀吉のシンボルとして有名です。その秀吉も家紋が元から桐というわけでなく、朝廷から賜った紋ということなので、身分の高い者から褒章として賜る「勲章の意味合いの強い紋だった。」と参考文献に説明されています。
鈍器は物理的にばちぼこ叩く「力こそパワー」な武器なので、高貴な印象の桐紋がモチーフであるのはやや意外に感じますが、「絶対的な力」のシンボル、と考えれば納得できる気もします。
血器鎖・鬼蔦
参考文献:P140「蔦紋」
江戸時代に民衆に広まった家紋でありながら、「蔦はれっきとした武家紋として知られていた。」とあるように、そもそもは武家が使っていた紋のようです。参考文献には、葵の紋から蔦紋に変えた松平氏についての話が掲載されています。
鬼蔦紋(おにつた):家紋のいろは
ちなみに、ただの蔦でなく「鬼蔦」という種類の家紋がちゃんとあるようで、こちらのWebサイトに概要が掲載されていました。通常の蔦と違い、葉先が尖っているのが特徴で、刺々しい血器鎖・鬼蔦の印象にぴったりですね。
血器剣・沢鷹丸
参考文献:P84「沢瀉紋」
沢瀉(オモダカ)が勝ち草といわれる所以(「葉が矢尻や矛、穂先を連想させるから」だそうです)と、それにちなんだ毛利家のエピソードが載っています。どうもこの家紋も、武家御用達の家紋のもよう。それも大名で十一氏、旗本で百余家という規模ですから、結構な人気の家紋です。
血器としては剣斧の名に冠されていますが、こんな武器を振るう豪傑に、ふさわしい家紋であることでしょう。矢尻でも矛でも穂先でもないことは、突っ込むのも野暮というものです。
血器槍・瓜輪
参考文献:P176「木瓜紋」?
こちら、参考資料には対応する家紋がありませんでした。
Webで調べた時には普通に出てきたので、そちらで調べてみると、Wikipediaの「木瓜紋」の項目に掲載がありました(鬼蔦の時に紹介したWebサイトには、記載がありませんでした)それによれば、五瓜(外郭弁が5つの木瓜紋)の内側を抜いて、輪の形にした文様だそうです。
木瓜紋で有名な織田家の「織田木瓜」がまさに五瓜の木瓜紋で、その内部を抜いて外側だけにすると、瓜輪の形になります。
参考文献で木瓜紋を引いてみると、越前朝倉氏をルーツとして、一揆の際に農民までもが朝倉家の紋を用いたことから、北陸で大きく広まったとあります。そのエピソードを考えると、竹槍や鍬などの長物(農民は武士と違い刀を持っていないので)を手に勝鬨を挙げる農民というのが、新作風魔伝においては象徴としての槍に置き換わった、という事なのかもしれません。
血器手甲・冥加ノ拳
参考文献:P169「茗荷紋」
文字こそ違えど音の響きから、すぐこの紋だろうと察しがつきました。
参考文献にも「茗荷」は「冥加」に通ずるとあります。具体的に一部引用すると「冥加とは、冥々の中に神仏の加護を受けることを指し、冥々とは暗い様。みょうがは『冥加』に通じる。」ただこの思想よりも前に、茗荷紋それ自体は存在していたようです。天台宗の魔陀羅神が茗荷を神様に据えており、この信仰が広まるとともに、茗荷紋も広がっていったようです。「南北朝から戦国時代にかけて」広まったとありますが、この紋を使う大名は数名に留まるとも。
新作風魔伝には仏教的要素のようなものが随所に見られますが、この家紋のルーツが宗教的であることから、「己の肉体を基本として戦う」手甲に、神仏系のシンボルを組み合わせた結果の「冥加ノ拳」なのかもしれない…と考えると、面白いなあと思ったりします。そういえば、ほかに手甲には「仏掌」という名前のものもあります。そういうイメージで採用されたのかもしれません。
文献を調べた結果は以上です。
武器名であることから、総じて武家関係の家紋が多いようですが、そうでない場合も「武器にちなんだ意味合い・ルーツの家紋」が使われているような感じがします。
番外編:風魔君ちに家紋はあるのか?
さて、ここまで血器に関連しそうな家紋を調べてきましたが、そういえば月氏は一族を形成しているのに、家紋については何一つわかっている点がありません。
一般的に、冠婚葬祭で着る紋付き袴だとか、甲冑であれば胴などに家紋を入れるだとかありそうなのですが、27代君の鎧も兄上の鎧も、蓮華の装束にさえもそれらしきものがありません。念のためデジタルアートブックに記載の、月鴻明(実装予定キャラクター)の着物の柄も調べてみましたが、該当する家紋はなさそうでした。
なれば、月氏の館…と思いましたが、館正面にそれらしいものもなく、宝物殿の正面図もこんな具合です。家紋はどこ?
宝物殿の中に神棚があったことを思い出しましたが、こちらも家紋なしでした。この家、統治側の名家と思しき規模なのに、家紋に執着がなさすぎる!
調べてもないものは仕方ないので、可能性のありそうなものを挙げてみます。
巴紋
参考文献の第四節に「家紋と地域の相関関係」があったので、風魔君の出身地が琉球国(=沖縄?)という所から考えてみます。
P245の沖縄県の項に、たった一文だけ記載されているのは「尚氏が歴代領有し、巴紋が多い。」え、それだけ?と思うかもしれませんが、琉球王国は離島という特性上、日本の群雄割拠の時代においても、頻繁に領主が変わることはなかったのでしょう。家紋においても外部から流入してくることがなかった、あるいはかなり少なかったと思われます。
巴紋については参考文献のP145にありますが、沖縄県との関連性については触れられていません。ただこの巴紋、作中では関連している可能性のある情報も出てきます。
アーリーの頃から撮影し直せてないので、その時のものですが失礼します。
遊郭にある石碑に「陰なる者・陽なる者」の予言の話があるのですが、陰陽、巴、というワードから、皆さまもこれを思い浮かべるのではないでしょうか。
陰陽勾玉巴紋(いんようまがたまともえ):家紋のいろは
こちらのWebサイトにおける巴紋の説明が、非常に古い文様であるだとか、歴史上最初に登場する家紋というのもあり、「寿壊の頃に一度滅んだ文明が、月氏のもとで再生するにあたり用いられるシンボル」として考えるなら、これほど相応しいものもないのでは?と思ったりしてしまいます。
月紋
月氏なのだから月紋だろう、と調べたらありました、月紋。
参考文献のP137で、古くから信仰対象とされている月を紋とした、とあるのですが、月単独で使われている事例は少ないようです。参考文献では「デザインが単純なせいか」とありますが、確かに植物紋などと比べるとシンプルですし、有名どころの佐竹さんちも「扇に月丸」つまり月だけの紋ではありません。
そういえばゲームブックの風魔君が、鎧や刀の鍔に三日月の意匠を含んでいます。ベルト中央の三日月などかなり好きなので、これじゃないかなーと思ったりするのですが、ほかの立ち絵では見られない特徴のため力説もできず。いいと思うんだけどなあ、月紋。
鬼兜、鬼牡丹
鬼人化するだとか、風魔君の額の文字などから、鬼…を連想したはいいものの、鬼紋という種類の文様は存在しないようです。鬼自体が架空の生き物一歩手前(?)なところもあるので、それは仕方ないとして、Webの方で探してみると「鬼兜」と「鬼牡丹」が見つかりました。
鬼兜紋(おにかぶと):家紋のいろは
鬼牡丹紋(おにぼたん):家紋のいろは
どちらも、厳つい鬼の顔が細部まで描かれた紋となっています。兜紋は尚武的で武家紋、牡丹紋は武家紋であり薬の象徴でもあるということで、いずれも月氏の家柄とかけ離れたイメージではないでしょう。
ひとまず、こんな具合に考えてみました。
ちなみに、風魔君ちが基本的に家紋を用いない(鎧装束・神棚・屋敷などに冠しない)ことについては、地獄へ行くのと何か関連があるのではないか、と思っています。あるいは、風魔君の代に兄二人を殺されたことから、みだりに家紋を示し一族であることを誇示するのを禁じたのかもしれません。
そうでないなら、そもそも家紋という風習自体がない可能性だってあります。現在、冠婚葬祭で紋付き袴を着るルーツを辿ると、かつて政令でそう定めた名残であるそうなので、一度文明が崩壊したことで、家紋文化そのものがなくなってしまった…ということもあるでしょう。
とはいえ「そこにないからなし!それが結論!」というのはいささか短絡的すぎるので、今後も「ゲームとして見えないだけで、あるかもしれない」をモットーに、いろいろ考えてみたいと思います。
なんと今日は、偶然自宅に家紋に関する本があったので、こちらを参考に考えてみようと思います。これより詳しい学術書の類は持っていないので、不足情報はいつも通りWebに頼っていくつもりです。
ちなみに、Amazonなどのリンクを紹介するため調べてみましたが、古い本のようですので個人出品の中古が出回っており、書店系のネット注文などでは在庫切れしているようです。新書版などもあるので、興味がある方は中古で仕入れてみるか、古書店などを探すと見つかるかもしれません。
参考文献を携えたところで、各「血器」と対応しそうな家紋について、見ていきます。
血器刀・柏丸
参考文献:P95「柏紋」
柏手を打つ、という慣用句からわかるように、柏は掌のように大きな葉をもつ樹木です。早速引いてみると、ありました、柏紋。冒頭に鎌倉幕府の御家人・葛西清重のエピソードが書かれている他、護符として柏の葉が使われていた神社があること、漁業関係者の紋として多かった話などが書かれています。
刀と漁業はさほど関係がなさそうなので、戦の勝利を願い柏の葉を護符代わりに持って行ったという類の、おそらく武家関係のエピソードから拾われているのだと思います。
血器傘・鏡草
参考文献:P97「片喰紋」
鏡草、と言われてすぐピンとくる人は少ないかもしれませんが、鏡草は片喰(カタバミ)の別名です。ゆえに、この傘も片喰のように、3つの花弁がくっついたような形をしています。
参考文献には、優美な形が目を引くためか古くから文様として使われ、特に貴族の間で好まれた、という旨の記述がありました。柏紋の時と違い武家感はありませんが、そもそも傘は武器ではなく日用品であることから、貴族イメージの強いこの家紋が採用されているのかもしれません。
血器双刃・鷹羽
参考文献:P201「鷹・鷹の羽紋」
私が血器の名前の法則性が「植物ではなく家紋では?」となったきっかけです。いちおう、Webで調べてみると鷹羽薄(タカノハススキ)という植物も出てくるので、植物モチーフであった場合はそちらが由来の物でしょう。矢羽型の斑点があり、古くから庭園などに利用されている品種だそうです。
家紋の方は、参考文献の説明は数行程度ですが「鷹は鷹狩りに用いられ、尚武的。このため家紋に。」とあるので、主に武家が使う家紋だったと思われます。そういえば、戦国時代の太田さんちが鷹羽とか矢羽だったような。
血器棍・撲桐花
参考文献:P110「桐紋」
中国では梧桐が瑞鳥、鳳凰の集まる木とされ、瑞祥的であることから、特に身分の高い人物にもてはやされた家紋だそうです。五七の桐(中央が七枚葉、左右が五枚葉の桐)が太閤秀吉のシンボルとして有名です。その秀吉も家紋が元から桐というわけでなく、朝廷から賜った紋ということなので、身分の高い者から褒章として賜る「勲章の意味合いの強い紋だった。」と参考文献に説明されています。
鈍器は物理的にばちぼこ叩く「力こそパワー」な武器なので、高貴な印象の桐紋がモチーフであるのはやや意外に感じますが、「絶対的な力」のシンボル、と考えれば納得できる気もします。
血器鎖・鬼蔦
参考文献:P140「蔦紋」
江戸時代に民衆に広まった家紋でありながら、「蔦はれっきとした武家紋として知られていた。」とあるように、そもそもは武家が使っていた紋のようです。参考文献には、葵の紋から蔦紋に変えた松平氏についての話が掲載されています。
鬼蔦紋(おにつた):家紋のいろは
ちなみに、ただの蔦でなく「鬼蔦」という種類の家紋がちゃんとあるようで、こちらのWebサイトに概要が掲載されていました。通常の蔦と違い、葉先が尖っているのが特徴で、刺々しい血器鎖・鬼蔦の印象にぴったりですね。
血器剣・沢鷹丸
参考文献:P84「沢瀉紋」
沢瀉(オモダカ)が勝ち草といわれる所以(「葉が矢尻や矛、穂先を連想させるから」だそうです)と、それにちなんだ毛利家のエピソードが載っています。どうもこの家紋も、武家御用達の家紋のもよう。それも大名で十一氏、旗本で百余家という規模ですから、結構な人気の家紋です。
血器としては剣斧の名に冠されていますが、こんな武器を振るう豪傑に、ふさわしい家紋であることでしょう。矢尻でも矛でも穂先でもないことは、突っ込むのも野暮というものです。
血器槍・瓜輪
参考文献:P176「木瓜紋」?
こちら、参考資料には対応する家紋がありませんでした。
Webで調べた時には普通に出てきたので、そちらで調べてみると、Wikipediaの「木瓜紋」の項目に掲載がありました(鬼蔦の時に紹介したWebサイトには、記載がありませんでした)それによれば、五瓜(外郭弁が5つの木瓜紋)の内側を抜いて、輪の形にした文様だそうです。
木瓜紋で有名な織田家の「織田木瓜」がまさに五瓜の木瓜紋で、その内部を抜いて外側だけにすると、瓜輪の形になります。
参考文献で木瓜紋を引いてみると、越前朝倉氏をルーツとして、一揆の際に農民までもが朝倉家の紋を用いたことから、北陸で大きく広まったとあります。そのエピソードを考えると、竹槍や鍬などの長物(農民は武士と違い刀を持っていないので)を手に勝鬨を挙げる農民というのが、新作風魔伝においては象徴としての槍に置き換わった、という事なのかもしれません。
血器手甲・冥加ノ拳
参考文献:P169「茗荷紋」
文字こそ違えど音の響きから、すぐこの紋だろうと察しがつきました。
参考文献にも「茗荷」は「冥加」に通ずるとあります。具体的に一部引用すると「冥加とは、冥々の中に神仏の加護を受けることを指し、冥々とは暗い様。みょうがは『冥加』に通じる。」ただこの思想よりも前に、茗荷紋それ自体は存在していたようです。天台宗の魔陀羅神が茗荷を神様に据えており、この信仰が広まるとともに、茗荷紋も広がっていったようです。「南北朝から戦国時代にかけて」広まったとありますが、この紋を使う大名は数名に留まるとも。
新作風魔伝には仏教的要素のようなものが随所に見られますが、この家紋のルーツが宗教的であることから、「己の肉体を基本として戦う」手甲に、神仏系のシンボルを組み合わせた結果の「冥加ノ拳」なのかもしれない…と考えると、面白いなあと思ったりします。そういえば、ほかに手甲には「仏掌」という名前のものもあります。そういうイメージで採用されたのかもしれません。
文献を調べた結果は以上です。
武器名であることから、総じて武家関係の家紋が多いようですが、そうでない場合も「武器にちなんだ意味合い・ルーツの家紋」が使われているような感じがします。
番外編:風魔君ちに家紋はあるのか?
さて、ここまで血器に関連しそうな家紋を調べてきましたが、そういえば月氏は一族を形成しているのに、家紋については何一つわかっている点がありません。
一般的に、冠婚葬祭で着る紋付き袴だとか、甲冑であれば胴などに家紋を入れるだとかありそうなのですが、27代君の鎧も兄上の鎧も、蓮華の装束にさえもそれらしきものがありません。念のためデジタルアートブックに記載の、月鴻明(実装予定キャラクター)の着物の柄も調べてみましたが、該当する家紋はなさそうでした。
なれば、月氏の館…と思いましたが、館正面にそれらしいものもなく、宝物殿の正面図もこんな具合です。家紋はどこ?
宝物殿の中に神棚があったことを思い出しましたが、こちらも家紋なしでした。この家、統治側の名家と思しき規模なのに、家紋に執着がなさすぎる!
調べてもないものは仕方ないので、可能性のありそうなものを挙げてみます。
巴紋
参考文献の第四節に「家紋と地域の相関関係」があったので、風魔君の出身地が琉球国(=沖縄?)という所から考えてみます。
P245の沖縄県の項に、たった一文だけ記載されているのは「尚氏が歴代領有し、巴紋が多い。」え、それだけ?と思うかもしれませんが、琉球王国は離島という特性上、日本の群雄割拠の時代においても、頻繁に領主が変わることはなかったのでしょう。家紋においても外部から流入してくることがなかった、あるいはかなり少なかったと思われます。
巴紋については参考文献のP145にありますが、沖縄県との関連性については触れられていません。ただこの巴紋、作中では関連している可能性のある情報も出てきます。
アーリーの頃から撮影し直せてないので、その時のものですが失礼します。
遊郭にある石碑に「陰なる者・陽なる者」の予言の話があるのですが、陰陽、巴、というワードから、皆さまもこれを思い浮かべるのではないでしょうか。
陰陽勾玉巴紋(いんようまがたまともえ):家紋のいろは
こちらのWebサイトにおける巴紋の説明が、非常に古い文様であるだとか、歴史上最初に登場する家紋というのもあり、「寿壊の頃に一度滅んだ文明が、月氏のもとで再生するにあたり用いられるシンボル」として考えるなら、これほど相応しいものもないのでは?と思ったりしてしまいます。
月紋
月氏なのだから月紋だろう、と調べたらありました、月紋。
参考文献のP137で、古くから信仰対象とされている月を紋とした、とあるのですが、月単独で使われている事例は少ないようです。参考文献では「デザインが単純なせいか」とありますが、確かに植物紋などと比べるとシンプルですし、有名どころの佐竹さんちも「扇に月丸」つまり月だけの紋ではありません。
そういえばゲームブックの風魔君が、鎧や刀の鍔に三日月の意匠を含んでいます。ベルト中央の三日月などかなり好きなので、これじゃないかなーと思ったりするのですが、ほかの立ち絵では見られない特徴のため力説もできず。いいと思うんだけどなあ、月紋。
鬼兜、鬼牡丹
鬼人化するだとか、風魔君の額の文字などから、鬼…を連想したはいいものの、鬼紋という種類の文様は存在しないようです。鬼自体が架空の生き物一歩手前(?)なところもあるので、それは仕方ないとして、Webの方で探してみると「鬼兜」と「鬼牡丹」が見つかりました。
鬼兜紋(おにかぶと):家紋のいろは
鬼牡丹紋(おにぼたん):家紋のいろは
どちらも、厳つい鬼の顔が細部まで描かれた紋となっています。兜紋は尚武的で武家紋、牡丹紋は武家紋であり薬の象徴でもあるということで、いずれも月氏の家柄とかけ離れたイメージではないでしょう。
ひとまず、こんな具合に考えてみました。
ちなみに、風魔君ちが基本的に家紋を用いない(鎧装束・神棚・屋敷などに冠しない)ことについては、地獄へ行くのと何か関連があるのではないか、と思っています。あるいは、風魔君の代に兄二人を殺されたことから、みだりに家紋を示し一族であることを誇示するのを禁じたのかもしれません。
そうでないなら、そもそも家紋という風習自体がない可能性だってあります。現在、冠婚葬祭で紋付き袴を着るルーツを辿ると、かつて政令でそう定めた名残であるそうなので、一度文明が崩壊したことで、家紋文化そのものがなくなってしまった…ということもあるでしょう。
とはいえ「そこにないからなし!それが結論!」というのはいささか短絡的すぎるので、今後も「ゲームとして見えないだけで、あるかもしれない」をモットーに、いろいろ考えてみたいと思います。
この記事にコメントする
プロフィール
HN:
九曜
自己紹介:
ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
ブログ内検索
カテゴリー
最新記事
(11/18)
(11/11)
(11/04)
(10/28)
(10/21)