月風魔伝その他、考察などの備忘録。
皆さまこんばんは、九曜です。
月風魔伝ワンドロライ、6/26の部が今年も終了いたしました!
主催の作品がこちらになります。
当日夜に予定が急遽入ってしまい、リアルタイムワンドロライが不可能になってしまったので、前倒しでワンライして画像まで仕上げておき、時間になったら提出するという力業で何とかしてみました。見てくださった皆様、感想やリアクション下さった方々、ありがとうございます。
引き続き、7/7の本誕ワンドロライもよろしくお願いします。主催はワンドロです。久しぶりすぎて人が描ける気がしません
追記より、ワンライの本文を掲載しています。
タイトルは『今日はなんと素敵な』内容としては「なんかよくわからないけどHD経由で館にやってきた初代月風魔の、6月26日(だと思われる。設定上!)の話」となっております。
月風魔伝ワンドロライ、6/26の部が今年も終了いたしました!
主催の作品がこちらになります。
当日夜に予定が急遽入ってしまい、リアルタイムワンドロライが不可能になってしまったので、前倒しでワンライして画像まで仕上げておき、時間になったら提出するという力業で何とかしてみました。見てくださった皆様、感想やリアクション下さった方々、ありがとうございます。
引き続き、7/7の本誕ワンドロライもよろしくお願いします。主催はワンドロです。久しぶりすぎて人が描ける気がしません
追記より、ワンライの本文を掲載しています。
タイトルは『今日はなんと素敵な』内容としては「なんかよくわからないけどHD経由で館にやってきた初代月風魔の、6月26日(だと思われる。設定上!)の話」となっております。
今日はなんと素敵な
当主として冥府を下り、地獄の異変の元凶を打ち倒してから、早いものでもう六月も終わりが近い。二十七代当主月風魔は、その日何かを思い出したように、宝物殿の蔵書をいくつか引っ張り出しては積み上げ、灯火のもとで読み漁っていた。
そこへ、男が通りがかった。当主である風魔と同じ赤く長い髪だが、瞳は掬い上げた水の如く色に澄んでおり、二十七代風魔の黄金色の瞳と視線がかち合った。
「歴史学か何かか? ずいぶん熱心だな」
「しょ、初代様」
二十七代風魔は頭を垂れる。どういう理屈かは知らないが、この西暦一万五千六百余年の月氏の館には、千年も前の時代を生きたはずの「初代月風魔」が迎えられていた。二十七代当主も月風魔なので、まったく同じ名前では紛らわしいと「初代様」などと呼ばれていたが、とうの初代月風魔は神格でもなければ、二十七代らを下に見ようともしない「等身大の人」であったので、呼ばれるたびむず痒い思いをしながら、しかし紛らわしいのも事実だと目を瞑っているといった具合であった。
「そ、そうすぐ、かしこまるのはやめてもらえぬか。ああ、顔も上げてくれ。俺はそんな大層な男ではない」
「なれど、初代様がいてこそ、我ら月一族には今がございます。お言葉をもらうのも勿体のうございます」
「うーむむ……」
初代月風魔は、この館へ来る前、異世界で出会った夜を狩る一族のことを思い出していた。後世の子孫にあたるリヒターからシモンへ向けられた尊敬の眼差しと、両手をひらひら振りながら「俺は何もしていない」と困惑するシモンの姿が、今の自分にすっかり重なる。子孫というものはなべて、こういう風であるのかもしれない……などと自分自身を諭して、ひとまず話を変えてみることにした。
「ところで、何を調べていたんだ? この一族の話であるならば、俺も興味がある」
「あっ!」
二十七代風魔は慌てたように、広げていた巻物をがさがさとまとめてしまうと、こう続けた。
「い、いえ! 大した事ではないので! それでは!」
そして灯火を吹き消すと、足早に去って行ってしまった。初代月風魔はいよいよ訝しんで、押し込んだ書物のひとつを引っ張り出し、広げてみた。
『魔暦元年。龍骨鬼が覚醒し、地上は地獄と化した。月氏三兄弟は龍骨鬼に立ち向かい――』
なんだか聞いたことのある話だ、などというものではない。それははっきりと、初代月風魔の通ってきた過去を書き記しており、二十七代がそそくさ去って行った理由も、何となく呑みこむことができた。
「さすがに……俺の前で、俺の事を調べていたとは言えぬ、か」
それ以外にも理由はあったのだが、この時の初代月風魔がそれを知る手立てがあるでもなく、消された灯火がくゆらす煙の香りが、初夏の風に乗って静かに運ばれていった。葉擦れの音と清流のせせらぎに誘われ、初代月風魔はしばらく、中庭でのんびり考え事でもすることにした。
* * *
さて、その晩である。夕餉の支度に呼ばれた初代月風魔は、大広間に入るなり盛大な破裂音の洗礼を受けた。青、白、赤、火薬玉の煙がもうもうと立ち込めているが、どうやら色煙に重きを置いた火薬玉で、別にどこも痛んだり熱かったりはしなかった。
「これはな、何事……」
「初代様! お誕生日、おめでとうございます!!」
二十七代から、結び飾りのついた何かの包みを渡される。ぽかんとしていると、その後ろからすっと割って入った蓮華……二十一代当主からは、色とりどりの初夏の花束が。両手に受け取ると、二十七代は満面の、二十一代は穏やかな笑みで、初代月風魔の着席を促した。目の前の箱膳には、祭りの時でもあるかのような馳走が盛られている。
誕生日など教えただろうか、という自問の答えはすぐ出た。昼間、二十七代が調べて突き止めた中に、初代月風魔の誕生日もあったらしかった。いつか呟いた、自分は初夏の生まれゆえ、初めて桜を見たのは年を重ねる頃だったという話を、どうやら覚えられていたようだ。
誕生日を祝ってもらうなど、兄たちのいた頃が最後で……その記憶は確かにあれど、今の初代月風魔には、遠い昔の事のようにも思えた。席は左右に並ぶ家臣たちの前、いつもと変わらぬ位置ではあるが、今日は特別な場である気がした。座り直して息をつくと、かれもまた笑顔となった。
「ありがとう。宴の席を設けてもらうなど、この上ない幸せだ」
侍女に酒を頂き、乾杯の盃を持つ。二十七代の掛け声に合わせ、たくさんの手が、喜び祝う盃を頭上に掲げた。
++++++++++
というわけで、風魔君が誕生日を祝われるお話です。めでたしめでたし。
ちなみに、HD経由で風魔君が来ているのにはちょっとした理由がありまして、まだ未提出の4コマ漫画の中に「HDで城内になぜかUMの帰還ポータルがあって、使ってみたら15600年の月氏の館にきました」的なネタがあったからです。ゆえに実は『双桜』の風魔君もHDの風魔君です(シモンの話が出ている)
本編の風魔君はこう…なんか…###ネタバレ防止###なので、とても普通には館にお越しいただけないというのはあります。なんか兄上は高確率でいるんですが…。
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ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
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