月風魔伝その他、考察などの備忘録。
皆さまこんばんは、九曜です。
魔物絵巻を書き進めているのですが、今まで使っていた写真送信用アプリを入れ替えたところ、同じ感じで送れなくて画像処理に非常~に手間がかかっており、何か代替策とか考え中です。
絵巻の6割ぐらいは攻略本の画像頼みなので、ここがスムーズでないと記事も作れないの、ほんと困りものです。あと攻略本がやたら多くて撮るのも大変げふんげふん
今日は月風魔伝UMのお話ですが、ネタバレ大前提ED後のお話なので、大丈夫な方だけどうぞ。
ED後、兄と弟のその後です。タイトルよろしく、あまり幸せな話ではないテイストのエンド分岐です。
魔物絵巻を書き進めているのですが、今まで使っていた写真送信用アプリを入れ替えたところ、同じ感じで送れなくて画像処理に非常~に手間がかかっており、何か代替策とか考え中です。
絵巻の6割ぐらいは攻略本の画像頼みなので、ここがスムーズでないと記事も作れないの、ほんと困りものです。あと攻略本がやたら多くて撮るのも大変げふんげふん
今日は月風魔伝UMのお話ですが、ネタバレ大前提ED後のお話なので、大丈夫な方だけどうぞ。
ED後、兄と弟のその後です。タイトルよろしく、あまり幸せな話ではないテイストのエンド分岐です。
別れ
兄・嵐童が「旅に出る」と言い出した時も、二十七代当主月風魔は、止めるための言葉を持たなかった。地獄を統べる邪神に操られてこそいたものの、剥き出しの本心から弟に刃を向けた、そして倒されながらも一命をとりとめた男の、居場所らしい居場所がないことは、弟である風魔もよく知っていたのであるから。
「分かりました。……路銀は、いくら要りそうですか?」
「要らぬ。私物を売り、何とかする」
「ではせめて、道中草鞋と笠を」
「要らぬ」
すっくと立ち上がり、背を向けた兄の背中は、なぜだろう、自分より一回りも大きいはずなのに、その時の風魔にはやけにちいさく見えた。それが遠ざかり、ほんとうに消えてしまいそうになる錯覚にとらわれて、思わず視線を畳の縁に落とす。去ってゆく足音がゆっくり、遠ざかるのを耳だけで感じて、当主の間に座した風魔は、目を閉じ、溜息をつくのであった。
思えば、仲の良い兄弟であった。幼き頃から当主たる男として、先代当主である父には分け隔てなく接され、互いに切磋琢磨し合ってきた。兄は努力の人で鍛錬を極め、弟は天賦の才により数多の戎具を極めた。先代より次代当主が弟であることを告げられると、家臣は兄派と弟派に割れいがみ合うたが、当の兄弟は「先代の決めた事なれば」「兄の武を以て弟の才を助くのだ」と諭し、家臣らの分裂も何とか収まった。
それを乱したのが、初代より千年の時を経て、封印の解けた地獄であった。弟を当主と選んだ父のため、身代わりとして地獄の封印に赴いた兄は、身代わりであるがゆえに封印を継ぐことかなわず、邪神に唆され我が身の不幸を呪う身となり果てた。兄のためと地獄の封印に赴いた弟は、変わり果てた兄と対峙することとなった。幸い、地獄で死んだ嵐童の魂は現世へ還りつき、当主の持つ輪廻の術の影響下にあったおかげで、すべてを討ち取り地獄を制した弟ともども、館へ戻ってくることが、できた。
伝記を綴るにあたり、地獄の顛末を弟は黙していたが、兄が委細正直に喋り、以来、家臣たちは兄を遠巻きに見るようになった。何と理由をつけようにも、当主としての言となってしまい、弟にはどうする術もなかった。
そうして、兄・嵐童は、自分が月氏の家を出ることに決めた。
「兄上!」
部屋に転がるように飛び込むと、嵐童は着流し姿でまだ文机の前に座して、筆と墨で何やらしたためていた。手紙ではなく短冊であったことから、何か詠んでいたらしい。辞世の句かと早とちりした風魔は、「お、お待ちください!」などと慌てながら、文机と兄の狭い隙間に割って入った。
「い、如何した? 出立は明日と伝えた筈だが」
目をしばたいている嵐童に、はっと我に返って手元の短冊を見ると、そこにあるのは辞世の句などではなく、月氏の教訓十か条の一であった。
「……すみませぬ。取り乱しました」
「いや、良い。私こそ突然、出てゆくなどと」
「兄上」
嵐童の前に離れて座り直し、二十七代当主月風魔は、これ以上はないという真剣な眼差しで、口を開いた。
「もう、此処へ帰ってはこられませぬか」
嵐童は何とも答えかねるといったように、口を結んだ。帰ってくると言っても言わなくても、つらい思いをさせることには変わりない。ただ一人の弟、自分はもはや父母もいないかれにとって唯一の家族、それが、ともに過ごすこともかなわぬ未来となると。
しばし空白の時が流れたのち、風魔はすべてを察したように、
「わかりました」
その言葉が、まさに断絶であった。覚悟していたそれが確信に変わったことで、穏やかだった空気が一度に白んだ。昼であるのに夜の底の、得体のしれぬ青白さに包まれる心地で、風魔は震える手を制して障子戸を開け、嵐童の部屋を静かに去った。
嵐童もまた、暮れなずむ最後の光が潰えた心地で、それでも平生を保つため、短冊の残り九篇をしたためる作業に戻った。いつの間にか振り出した雨の音が、ばらばらと屋根の上で乱雑に踊って、うるさく乱れるわが心のようであった。
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ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
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