月風魔伝その他、考察などの備忘録。
今週もワンライの時間がやって参りました、九曜です。
さて、今日のお話なんですけど、いつも通り月風魔伝のお話なんですけど、とりあえず読んでもらえたらいいな、と思っています。
ネタバレ前提!みたいなお話ではないんですが、月風魔伝と、UMと、両方知ってると楽しめるんじゃないかなと思います。
さて、今日のお話なんですけど、いつも通り月風魔伝のお話なんですけど、とりあえず読んでもらえたらいいな、と思っています。
ネタバレ前提!みたいなお話ではないんですが、月風魔伝と、UMと、両方知ってると楽しめるんじゃないかなと思います。
足跡
『この家から、月氏の血から逃げ出したい、と思ったことはあるか』
いつか兄から、そのような事を訊かれたのを、当主月風魔は思い出していた。遠目に広場とまばらに咲く桜が見えている。早春の村は暖かな光を待ちわびたように、冬の錆色から春の萌黄へ、色を変え始めていた。
今ここに座している月風魔は、一族当主となり三年目の春を迎える。思い返せば、当主となるにあたりさまざまの事が起きたが、それらが遠い昔のようなつい昨日のような、不思議な心地であった。忙しく働きはじめた人の波を追いかける合間に、なぜだかその日は、兄の言葉が思い出された。
飛んで行く小鳥の軌跡が、青空を二つに切り分けた。飛ぶ鳥。そうだ、翼があればどこまでも飛べるだろうと、突拍子もない答えを返した気がする。やがて当主となる運命どころか、まだ世間の波さえ知らぬ童子の答えとしては、不当とまではゆかぬか。長じた当主は己が言葉を今となって恥じながら、しかし今では恥じ入る相手もおらぬと、長く深く息を吐き出した。
『翼か、良い答えだ。翼をもつ鳥は、とても自由だろう。その気になれば、きっとどこまでも飛んでゆける』
兄が両手を広げた姿は、岩場の高所で翼を広げる鷲や鷹にそっくりであったが、姿が似ているだけで空を飛べるわけではない。まだ幼いながらもそれには感付いたようで、記憶の中の幼い月風魔はすっかり縮こまって、赤い顔で俯いてしまっていた。
『そう、しょげるな。翼をもたぬ我らにも、良い所はある』
あの時、見上げた視線はしっかりと合っていた。兄は、透き通った空のような薄青色の目で、こちらを優しく覗き込んでいた。断ずるでも、咎めるでもない、諭す時の瞳であった。
『我らはこの地で、たとえどんな事があろうとも、二本足を地につけ、民を導き、歩いてゆかねばならぬ。どんなにか不自由だろう。ただ、足で歩けば足跡が残る。我らの足跡を誰かが辿り歩くことで、それが「道」となるのだ』
この教えは二度と忘れまい。もう十数年も前に、それも幼い時分に聞いた言葉であるのに、これだけははっきりと、風魔は覚えていた。自由に飛ぶのではなく、地を歩き「足跡」を残す。月氏一族の、三兄弟の末弟だから聞けた特別な話ではないと、今ならわかる。ひいてはこれが人の、本来の生き方であったのだろうと。
あれから文献を読み返し「寿壊」について分かったことがいくつかあった。人は月を目指し、その先を目指し、地面に足跡をつけるのも忘れて、そこに傲慢な心が生まれた。小さなひずみが大きな魔を呼び、大地を、いやそこにあった「足跡」をすべて滅ぼした。
ゆえに、我らは忘れてはならないのだ、と風魔は思った。残された自分は、兄たちの残した「足跡」を辿り、次の道を作ってゆかなければならぬ。やがてその足跡も、また誰かの、恐らくは次代の道たらんと。次に足跡の絶える時こそ、この世から人の絶えてしまう時なのであろうと。
土の広場を走っていく童子たちを見やって、彼らもまた元気な足跡をつけていることに、風魔はどこかほっとしていた。長閑で高い春の空の青は、亡き長兄天魔の、瞳の青にとてもよく似ていた。
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歯切れの悪い前置きで察してしまった方もいると思うんですが、今回は『月風魔伝』のお話です。いつも通りUMの話だと思った方、筆者が狙ってやってるので悔しがらないでください。なんかせっかくいい感じだったので叙述トリックとかそんなのをやりたかったんですけど、私の表現力と文章力がついてゆかず、ネタバラシの仕方がなかなかダイレクトです。
時節は当主就任後3年ぐらいで、地獄リバイバル前ですね。復興してる集落とかを見回ってるんだと思います。当主になった時の「さまざまの事」は、おはよう龍骨鬼地獄だよ住人集合!事件のことですね。
どっちかというと叙述トリックではなく「足跡」の話を真面目にしたかったので、その点ではいい話が書けたな~とか思っています。この話で出てくる兄は長兄ですね。最初の案では次兄でしたが、喋り方でバレてしまうので長兄にお越しいただきました。などという四方山話。
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