月ノ下、風ノ調 - 月風魔伝UMワンドロライ2026 第一夜終了しました 忍者ブログ
月風魔伝その他、考察などの備忘録。
皆様こんばんは、九曜です。

先週2/10にワンドロライ第一夜が終了しましたので、今週は主催作品のアーカイブです。
第二夜は明日、2/17の21時からスタート予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。

今回はスマホのメモアプリ+キーボードというスタイルで執筆し、加工する時間を省いてノート追記形式で投稿したので、名刺メーカーさんを使うよりも目を惹きにくい作品だったかな、と思います。
とりあえずクリティカルなネタバレもR17+の表現もないはずなので(初代月風魔伝の知識前提のネタはあります)、初見さんでも安心して楽しめる作品…になっていればいいなあ…。




お題『力』

 それは27代当主月風魔が、宝物殿の書物を読み解き、いにしへの戒具について知見を深めようとした時のことである。
「ああっ!?」
 素っ頓狂な声があがったのを聞きつけ、何事かとぱたぱた駆けて来た足音は月蓮華のものである。地獄より救い出されてのち、この館に滞在する事となった彼女は、冷静沈着の思考とあたたかな慈しみの心をあわせ持ち、かつて当主であった頃に行方不明を惜しまれたという事に、27代はたいそう納得したものであった。
 さて、蓮華は「どうした」などと声を掛けたが、それに対し風魔は口をぱくぱくさせながら、金魚の面で書物のある頁を指差している。指の先を視線で追うと、そこには武者が太鼓を片脇に持ち、撥で叩いている絵姿があった。当主として学も備えた蓮華には、この一風変わった戒具に心当たりがあった。
「これは『守り太鼓』のようだな。これが、どうかしたのか?」
 守り太鼓とは、長き昔、初代月風魔が用いていたという伝説の装備である。叩くことで魔を祓う音色が「力」の一文字として打ち出され、これを浴びた魔物はその多くが崩れ落ち、時には無に帰すといわれる。かつて21代当主であった蓮華が知っているのであるから、27代も当主の学として知っていそうなものだが、眼前の顔は青天の霹靂にでも狼狽えているように、目を白黒させている。
「こっ、これが……これが、伝説の戒具だったとは……知らなんだ……」
 風魔がそう言い、今度は視線を落として落ち着きなくしているので、蓮華が仔細を尋ねると、かれは観念したように、呟くほどの声でこう告げた。
「……実は幼き頃、これを妙な玩具と思い、壊してしまったのだ」

***

 話は、二十七代が当主として「月風魔」の名を授かるずっと前、まだ齢六ほどの頃に遡る。
 月一族の何たるか、家の使命も重圧も知らなかった頃であるから、ずいぶんと悪戯もしたしやんちゃもした。その記憶にはっきりと刻まれているひとつが、「太鼓」の記憶である。
 その太鼓は宝物殿の片隅、子供でもなければ見ないような低い棚の下、ほかの物の隙間から見える所に置かれていた。かれは見つけたそれがどうしても気にかかり、ある時、埃をかぶったそれを引きずり出した。
 遊戯用というにはやや大ぶりのそれは、六歳の細腕にはやや重たかったが、動かせぬほどではない。皮の張られた太鼓と、ところどころ塗りの剥げた撥。太鼓の脇には撥をはめて揃えて持ち歩くための、丸く窪んだ金属の留め具がある。残念ながら留め具は外れかけており、撥は太鼓に添えられる形で投げ置かれていた。
 親兄弟の留守をいいことに、かれはしげしげとその太鼓を眺め、撥でトン、とかるく叩いてみた。と、覗きこんだかれの顔にぶわと大風が当たり、周囲が白んで、何事かと天井を見やれば、白い片仮名の「カ」の文字がうっすらと、暗い天井に浮かんで溶けたのだった。
 童子や貴族が叩いて遊ぶような代物でありながら、得体の知れぬ様相のそれに、かれはすっかり面食らい、恐怖した。地獄を管理する手前、月一族の周囲は怪奇現象にも事欠かないのだが、かれもまた異形に連れ去られかけたり、危ない目に遭った事が何度かあった。ゆえに「目につかないほど奥へ仕舞い込まれたいわくつきの品」であると直感し——

***

「壊した!?」
「あっ、ああ。そのような貴重な物とはつゆ知らず……叩いて遊ぶうちに壊してしまった。め、面目ない」
 27代は巧妙に、慎重に嘘をつかねばならなかった。初代様が使ったといわれる伝説の、波動剣ほどではないにしろ代々月一族に受け継がれても良い、いや実際に受け継がれてきた貴重な戒具を、「呪いの品だと思いみずから叩き壊した」とは言えまい。
「そうか……。形あるものはいつか壊れる。それが偶々、この代であっただけかもしれんな」
 蓮華の言葉に、27代は心底ほっとして、あの日天井に広がった一文字を思い返した。今ならわかる。あれは片仮名の「カ」などでなく、真名の「力」だったのであろうと。

#UM祝誕お絵描き文字書き1時間一本勝負2026



++++++++++
だいたい、お題として『力』が提示される場合って「力を発揮する」やら「力を欲する」やら真面目な話になってしまいがちなので、主催はあえて真面目でない状況をチョイスしました。で、『力』といえば、原作風魔伝からプレイしてる筆者としてはあれしかないと思いました。守り太鼓!
このサブウェポン、UMでは副装備としてまったく影も形もなかったので、それならばと幼少期の27代君に、失態の形で喪失させてみることにしました。ちゃんと言い訳できてる27代君えらい。
ほかの話を見ると多分お分かりいただけるんですが、拙宅の27代君は子供時代やけに怖い目にばかり遭っているので、変なものに対する恐怖心が強い(=当主として不適格というわけでなく、恐怖を知っているという点で26代からは評価されている)んだと思います。

ちなみに、スマホで執筆したところ「戎具(じゅうぐ)」が変換できず大変困ったので、次回までに辞書登録しておこうと思います。

拍手

この記事にコメントする
           
お名前
メール(非公開)
URL
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧
プロフィール
HN:
九曜
自己紹介:
ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
ブログ内検索
Copyright ©  -- 月ノ下、風ノ調 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by White Board

powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]
PR