月風魔伝その他、考察などの備忘録。
こんばんは、九曜です。
ここに私が来るたび、皆さまにおかれましては「今日も月風魔の話が始まる」ぐらいに刷り込まれているかもしれません。
が、本日はなんと違う話です。
このブログ、そもそもTwitterでの妄想アーカイブやら、Privatterの小説アーカイブやらのために立ち上げた部分もありまして、別に風魔君に限った話ではない、ということもお伝えしました。
そこで今日は、以前書いていた『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』の小話を掲載しようと思います。
風魔君!!というテンションになる前、つまり私が風魔君に出会う前は、悪魔城を手当たり次第プレイしていまして、一番最初に遊んだ作品がこのXクロニクルでした。
血の輪廻を知らない状態だったので、Xクロニクルのリヒターがまさか性格も見た目もリメイクされているとはつゆ知らず「無理してかっこいい声出そうとしてる真面目な人」ぐらいの印象でした。好きですこういうの。
前置きが長くなりましたが、そういうわけで、とある雨の日のリヒターの話です。
ここに私が来るたび、皆さまにおかれましては「今日も月風魔の話が始まる」ぐらいに刷り込まれているかもしれません。
が、本日はなんと違う話です。
このブログ、そもそもTwitterでの妄想アーカイブやら、Privatterの小説アーカイブやらのために立ち上げた部分もありまして、別に風魔君に限った話ではない、ということもお伝えしました。
そこで今日は、以前書いていた『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』の小話を掲載しようと思います。
風魔君!!というテンションになる前、つまり私が風魔君に出会う前は、悪魔城を手当たり次第プレイしていまして、一番最初に遊んだ作品がこのXクロニクルでした。
血の輪廻を知らない状態だったので、Xクロニクルのリヒターがまさか性格も見た目もリメイクされているとはつゆ知らず「無理してかっこいい声出そうとしてる真面目な人」ぐらいの印象でした。好きですこういうの。
前置きが長くなりましたが、そういうわけで、とある雨の日のリヒターの話です。
ステンドグラスの窓に伝う流れを、退屈そうに追うふたつの青い目。
洒落たテーブルに冴えない顔で頬杖をつく男が、うねりの強い茶髪の毛先を、触れた指先で暇潰しに弄ぶ。
幾分、伸びてきただろうか。そろそろ切ってもらわねば、頭が重くなってしまう。
「リヒター。どうしたの?」
背後で声がした。
あたたかみのある優しい声は、恋人のアネットのものだ。
呼ばれてそのままでいるのも申し訳ないと思うが、退屈で凝り固まった体はすぐには動いてくれない。
頬杖をついたまま頭を捻り、何とかそちらに目配せだけする。
「雨は嫌い?」
退屈なの、でも、暇そうね、でもなく、そういう尋ね方をしてくることに、彼女の優しさを感じる。
この豪雨では、狩りも荷運びも買い物もままならない。仕事がないだけなら裏庭で稽古もできようが、荒天では無理もできなかった。
突然のにわか雨でなく、朝からずっとこの空模様。
まだ日中だというのに蝋燭の明かりが必要なほど暗く、湿った空気までまとわりついてくるようだ。
加えて体も動かせないとなれば、良いことなど何ひとつない。
「好きじゃないな」
告げた口から、続けて細くため息が漏れる。
なるべく早く、この雨には去ってもらいたいものだ。
「そうね。晴れて少し乾いた空気の方が、リヒターには似合うわ」
「ああ。それにどうせ湿った場所なら、」
『城』の方がまだ――そう言いかけて、身震いする。
自分はまだ、戦いを、敵を、あれほどの戦慄を求めているというのだろうか?
夜を狩る一族として、自分に流れている『血』が求めているのだろうかと、考えはすれど答えは出ない。
「湿った場所?」
「あっ……いや……湖で水浴びとかの方が、俺は、好きだ……な」
目の前の恋人は、他でもない『城』でドラキュラ伯爵に囚われた身だ。あの戦場に戻りたいなどと言えば「馬鹿を言わないで」と叱られるだろう。
慌てて話を取り繕うが、少し無理があっただろうか、とリヒターは頬を掻く。
「湖? うふふ、そういう趣味があったなんて、知らなかったわ。次に行く時、私も連れていってくれる?」
「えっ」
一瞬、思考が止まりかけたが、ようやくそれが「デートの誘い」であるのだと、リヒターは理解した。そういえば、アネットを連れて出掛けるなど、最近とんとご無沙汰だ。
郊外に魔物が多く出るようになってから、自然の多い場所へはリヒターひとりで行くことが多く、アネットとは街への買い物に連れ添うぐらいだった。
その元凶も討ち果たしたというのに、すっかり失念していたと思い出す。
「リヒターお兄ちゃん、アネットお姉ちゃん。何の話してるの? マリアもまぜて!」
何と答えたものか困っていると、その空気をぱあっと晴らすように、ひときわ高く明るい声が場に響いた。
『城』から助け出したリヒターの遠縁……ラーネッド家の娘、マリアだ。
ドラキュラによる襲撃で父母を失い、城に攫われていたところを、リヒターが助け出した。その後、養子としてベルモンド家に迎え入れたのだ。
暗黒神官の魔術の実験台にされたことで、精霊を呼ぶ不思議な力を得てこそいたが、それ以外はごく普通の、12歳の少女であった。
「マリアも一緒に行く? 湖に遊びにいくの」
「遊びに? うん! マリアも行きたい!」
朗らかなアネットの問いに、マリアは元気よく返事をする。
こうなってしまえば、今更撤回などできない。参ったな、実はまったく泳げないんだが、などと言ったら、この花のようなふたつの笑顔を台無しにしてしまう。
「……仕方ないな」
困惑する心やため息交じりの言葉とは裏腹に、リヒターの表情はいくぶんか緩んでいた。
もう一度窓外を見やる。滑る雨粒が、窓外の景色をその中に包み込んで、淡い光の枝を描いた。
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ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
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