月風魔伝その他、考察などの備忘録。
皆さんこんにちは、九曜です。
ここ一週間、一日一本弱のペースで小話を書いています。
といっても、風魔君の話じゃなくて、オレカの方のお話なんですけれども…
絵も描きますが、文もそれなりに書く奴でして、風魔君周りの文章も時々書いたりしています。
いつか「月風魔伝」をちゃんと執筆するのが夢です。
現状、Privatterなどに作品を出したりしているのですが、これもブログにきちんとアーカイブしたいと思ってたので、今回は以前書いたお話を置いておこうと思います。
風魔君の話を書くと、たいてい私の趣味でシモンが絡むので、状況は悪魔城HDを想定しています。
【!】ぬるいですが腐っぽい表現があると思いますので、義務教育のお済みでない方、苦手な方はご遠慮ください。
【!】多少えぐい描写も入ってます。
ここ一週間、一日一本弱のペースで小話を書いています。
といっても、風魔君の話じゃなくて、オレカの方のお話なんですけれども…
絵も描きますが、文もそれなりに書く奴でして、風魔君周りの文章も時々書いたりしています。
いつか「月風魔伝」をちゃんと執筆するのが夢です。
現状、Privatterなどに作品を出したりしているのですが、これもブログにきちんとアーカイブしたいと思ってたので、今回は以前書いたお話を置いておこうと思います。
風魔君の話を書くと、たいてい私の趣味でシモンが絡むので、状況は悪魔城HDを想定しています。
【!】ぬるいですが腐っぽい表現があると思いますので、義務教育のお済みでない方、苦手な方はご遠慮ください。
【!】多少えぐい描写も入ってます。
夢を見た。
長い長い夢を。それも、夢だとはっきりわかるような。
なぜなら、俺は何度でもその夢の中で死に、そしてまた生き返るのだ。
いや、生き返るというのはおかしいかもしれない。戦う前の状況に『戻されている』のだ。
俺は鞭を構え、眼前の敵を見据える。
自分の身の丈の数倍はあろうかという、巨大な骨の魔物。
まるで人のような骨格に竜の頭蓋を持つそれは、ともに戦う仲間から名前を聞いたことがある。
『魔王・龍骨鬼』……風魔の、2人の兄の仇だ。
骨の窪んだ暗闇に光る、鋭い眼差しに圧倒される。だが、逃げることはできない。
閉ざされた洞窟の中にはどこにも人の通れる隙間はなく、届かない天井に開いた大きな穴から注ぐ光だけが、唯一の明かりであった。
先手必勝、鞭を振りかぶって叩きつける。だが骨だけの身体は予想よりも硬く、打ちつけた右手がじん、と痺れた。
正面に向き直ると、眼前に迫る火の玉。かわす間もなく身を焼かれ、悶える。
激しく地面を転げまわっていると、大きな足が容赦なくのしかかり、肋骨の折れるぼきぼきという音と激しい痛みに意識が消える。
しかし、次の瞬間には既に、また龍骨鬼と俺は睨みあっている。
どうやら俺が勝つまで、これは繰り返されるらしかった。
繰り返しはいつも、両手に鞭を構えた姿のまま、こちらを見下ろす眼差しにやや身を竦めている場面から始まった。
何度も敗北した。踏み潰されたり、骨の髄まで焼かれたり、弾き飛ばされて地面に叩き付けられたり、鋭い爪に引き裂かれたり。
そのたび、肉体が傷つく気持ちの悪い音や、激しい痛覚や、身体の芯まで冷たくなってゆく感覚が襲った。
これが夢なら、いつかは醒めるはずだ。そう信じて何度立ち向かったかわからない。
気狂いにでもなりそうだった。
とうとう俺は睨みあうことを放棄し、右手からは一族に伝わる聖鞭がするりと抜け落ちた。
繰り返される悪夢に精も魂も尽き果て、膝をがくりとつく。
そして、ただ低い声で、最後の言葉を吐き捨てた。
――もういい。殺せ。
「殺させるものか!」
その声で突然目が醒めた。目の前にあの巨大な魔王はいない。
木目の天井を背景に、不安そうな顔でこちらを見下ろす男の姿……風魔だった。
「ひどく魘されていたが……大丈夫か?」
昨夜は魔物討伐に向かう前の景気づけにと、少し酒を入れながら輪を作ったことも、すっかり思い出した。
この状況と夢とのあまりの落差に、やるせない笑いまでこみあげてくる。
「うわごとでも、殺せ、だなどと。一体どんな夢を」
続けざまに訊かれたが、答えに詰まった。
ただでさえ、自分の過去については気負いすぎる男だ。お前の仇に延々殺され続ける夢を見た、などと言えば、ますます不安にさせてしまうだろう。
俺は仔細を語らず、そんな寝言を言うほど、夢でつらい思いをしただけだ……とだけ漏らした。
不意に、頬に風魔の赤い髪が触れる。
身体にじんと伝わってくる熱、背中や頭の後ろに回された手。
陽だまりにでも来たようなあたたかい感覚に、寝惚けた思考回路がようやく追いついてくる。
「……これ以上、誰も殺させはしない」
兄2人を失っている風魔の、その言葉には重みがあった。
「俺も、死ぬのは夢だけでいい」
お前を残して、死ぬものか。
その言葉の代わりに、起き抜けでまだ力の入らない腕を、俺は愛おしい仲間の背中に回し返した。
長い長い夢を。それも、夢だとはっきりわかるような。
なぜなら、俺は何度でもその夢の中で死に、そしてまた生き返るのだ。
いや、生き返るというのはおかしいかもしれない。戦う前の状況に『戻されている』のだ。
俺は鞭を構え、眼前の敵を見据える。
自分の身の丈の数倍はあろうかという、巨大な骨の魔物。
まるで人のような骨格に竜の頭蓋を持つそれは、ともに戦う仲間から名前を聞いたことがある。
『魔王・龍骨鬼』……風魔の、2人の兄の仇だ。
骨の窪んだ暗闇に光る、鋭い眼差しに圧倒される。だが、逃げることはできない。
閉ざされた洞窟の中にはどこにも人の通れる隙間はなく、届かない天井に開いた大きな穴から注ぐ光だけが、唯一の明かりであった。
先手必勝、鞭を振りかぶって叩きつける。だが骨だけの身体は予想よりも硬く、打ちつけた右手がじん、と痺れた。
正面に向き直ると、眼前に迫る火の玉。かわす間もなく身を焼かれ、悶える。
激しく地面を転げまわっていると、大きな足が容赦なくのしかかり、肋骨の折れるぼきぼきという音と激しい痛みに意識が消える。
しかし、次の瞬間には既に、また龍骨鬼と俺は睨みあっている。
どうやら俺が勝つまで、これは繰り返されるらしかった。
繰り返しはいつも、両手に鞭を構えた姿のまま、こちらを見下ろす眼差しにやや身を竦めている場面から始まった。
何度も敗北した。踏み潰されたり、骨の髄まで焼かれたり、弾き飛ばされて地面に叩き付けられたり、鋭い爪に引き裂かれたり。
そのたび、肉体が傷つく気持ちの悪い音や、激しい痛覚や、身体の芯まで冷たくなってゆく感覚が襲った。
これが夢なら、いつかは醒めるはずだ。そう信じて何度立ち向かったかわからない。
気狂いにでもなりそうだった。
とうとう俺は睨みあうことを放棄し、右手からは一族に伝わる聖鞭がするりと抜け落ちた。
繰り返される悪夢に精も魂も尽き果て、膝をがくりとつく。
そして、ただ低い声で、最後の言葉を吐き捨てた。
――もういい。殺せ。
「殺させるものか!」
その声で突然目が醒めた。目の前にあの巨大な魔王はいない。
木目の天井を背景に、不安そうな顔でこちらを見下ろす男の姿……風魔だった。
「ひどく魘されていたが……大丈夫か?」
昨夜は魔物討伐に向かう前の景気づけにと、少し酒を入れながら輪を作ったことも、すっかり思い出した。
この状況と夢とのあまりの落差に、やるせない笑いまでこみあげてくる。
「うわごとでも、殺せ、だなどと。一体どんな夢を」
続けざまに訊かれたが、答えに詰まった。
ただでさえ、自分の過去については気負いすぎる男だ。お前の仇に延々殺され続ける夢を見た、などと言えば、ますます不安にさせてしまうだろう。
俺は仔細を語らず、そんな寝言を言うほど、夢でつらい思いをしただけだ……とだけ漏らした。
不意に、頬に風魔の赤い髪が触れる。
身体にじんと伝わってくる熱、背中や頭の後ろに回された手。
陽だまりにでも来たようなあたたかい感覚に、寝惚けた思考回路がようやく追いついてくる。
「……これ以上、誰も殺させはしない」
兄2人を失っている風魔の、その言葉には重みがあった。
「俺も、死ぬのは夢だけでいい」
お前を残して、死ぬものか。
その言葉の代わりに、起き抜けでまだ力の入らない腕を、俺は愛おしい仲間の背中に回し返した。
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