月風魔伝その他、考察などの備忘録。
みなさんこんばんは、九曜です。
またブログを書くのをすっぽかす一歩手前だったので、いい加減風魔君botに「今日はブログの日だ」アラートでもつけようか考え中です。
べ、別に、私に@飛ばすだけなら他の人のTLに出ないだろうし…共通のフォロワーさんじゃない限りは…。
考察をまとめきれていないということもあるのですが(むしろその理由が7割ぐらいですが)そろそろクリスマスもやってきますので、今回はそれにちなんだお話のアーカイブをしておこうと思います。
今回もまたまた悪魔城。
シモンとセレナのほんのり切ない、クリスマスイブのお話です。
またブログを書くのをすっぽかす一歩手前だったので、いい加減風魔君botに「今日はブログの日だ」アラートでもつけようか考え中です。
べ、別に、私に@飛ばすだけなら他の人のTLに出ないだろうし…共通のフォロワーさんじゃない限りは…。
考察をまとめきれていないということもあるのですが(むしろその理由が7割ぐらいですが)そろそろクリスマスもやってきますので、今回はそれにちなんだお話のアーカイブをしておこうと思います。
今回もまたまた悪魔城。
シモンとセレナのほんのり切ない、クリスマスイブのお話です。
雪の華がはらはらと、暗い夜空に舞い、地面で一色の白に還る。
ワラキアの街並みはいつになく静かで、人通りも少ない。民家の窓に灯っていた温かな光も、だんだんと消えはじめていた。
夕方、雪が除けられていたにも関わらず、また薄く積もり始めている石畳の地面を、革のブーツが足跡をつけてゆく。
「明日のミサに間に合うように、起きましょうね」
そんなことを言っていたセレナは、もう寝ているだろうか。
大粒になってきた雪を見て、シモンは帰路を急いだ。
シモンが悪魔城へ向かい、ドラキュラ伯爵を討伐してから、二年が過ぎようとしている。
恋人のセレナが攫われたという私事もあったが、結果的に一帯の平和を取り戻すこととなり、シモンは街の中でも一躍有名な「時の人」となっていた。
もっとも、シモンはその扱いを好まず、セレナと正式に夫婦になったということ以外は、簡素な自宅で昔と変わらず過ごしていた。
それでも、何かにつけ呼ばれることも多く、今日も街の有力者が集まる立食会に呼ばれ、着慣れない一張羅の礼装をして出た次第だ。
その会が予定より長引いたせいで、すっかり遅くなってしまい、雪の夜道を歩く羽目になっているのは、切なくもある。
人の中にいるというのは、楽しくもあるが、疲れる部分もある。
戦いと同様、神経を縦横に張り巡らせて、常に最良の対応を考えなければならない。
気の許せる相手なら話も弾もうが、有力者と話すとなれば、話題ひとつにも困るものだ。
ようやくたどり着いた、明かりのついていない自宅を見て、小さなため息が口元を白く濁した。
ああ、やはり先に寝てしまったのかと、申し訳ない気分になる。
こんなことなら断って、セレナと一緒に居たかったと、シモンは心底後悔した。
「ただい……ま」
戸を開け入ると、やはり返事はなく、暗い室内にはシモンの靴音だけが響く。
普段は居間として使っている客間の、椅子の上にコートを脱ぎ捨てると、テーブルの上に書き置きされた羊皮紙が見えた。
明かりを灯す間も惜しく、暗闇に慣れた目を凝らして、インクの形を何とか読み取る。
『親愛なるシモンへ――
今日は、立食会おつかれさま。
偉い人たちの中にいるのは、大変だったでしょう。
ごめんね、先に寝ています。
朝には、一緒にミサへ行きましょうね。
――セレナ』
傍にはちいさな包みがあり、開くと床に何かがコツン、と当たる音がした。
落としてしまったのだと気づき、暗い床を手探りする。冷たい木をなぞる指先に、鎖のようなものが触れた。
拾い上げてみれば、それはチェーンのついた首飾りで、小さなクロスがあしらわれている。
それが自分への贈り物だと気づいた時、頬を熱いものが伝った。
(すまん……すまん、セレナ)
贈り物を添えて、わざわざ紙に労わる言葉を書き置いてくれたことに、シモンは低く嗚咽を漏らす。
怒ったり拗ねたりせず、ただ自分を信じて待っていたという事実が、疲弊した心を大きく揺さぶった。
せめて、明日はセレナと一緒に居てやりたい……今から寝て、朝のミサに間に合う気はしなかったが、意地でも起きなければ、と心に決める。
涙を拭い去り、首飾りを手紙の上にそっと置く。
窮屈な礼装を脱いで、潜り込んだ布団はひやりと冷たく、冬の夜の匂いがした。
ワラキアの街並みはいつになく静かで、人通りも少ない。民家の窓に灯っていた温かな光も、だんだんと消えはじめていた。
夕方、雪が除けられていたにも関わらず、また薄く積もり始めている石畳の地面を、革のブーツが足跡をつけてゆく。
「明日のミサに間に合うように、起きましょうね」
そんなことを言っていたセレナは、もう寝ているだろうか。
大粒になってきた雪を見て、シモンは帰路を急いだ。
シモンが悪魔城へ向かい、ドラキュラ伯爵を討伐してから、二年が過ぎようとしている。
恋人のセレナが攫われたという私事もあったが、結果的に一帯の平和を取り戻すこととなり、シモンは街の中でも一躍有名な「時の人」となっていた。
もっとも、シモンはその扱いを好まず、セレナと正式に夫婦になったということ以外は、簡素な自宅で昔と変わらず過ごしていた。
それでも、何かにつけ呼ばれることも多く、今日も街の有力者が集まる立食会に呼ばれ、着慣れない一張羅の礼装をして出た次第だ。
その会が予定より長引いたせいで、すっかり遅くなってしまい、雪の夜道を歩く羽目になっているのは、切なくもある。
人の中にいるというのは、楽しくもあるが、疲れる部分もある。
戦いと同様、神経を縦横に張り巡らせて、常に最良の対応を考えなければならない。
気の許せる相手なら話も弾もうが、有力者と話すとなれば、話題ひとつにも困るものだ。
ようやくたどり着いた、明かりのついていない自宅を見て、小さなため息が口元を白く濁した。
ああ、やはり先に寝てしまったのかと、申し訳ない気分になる。
こんなことなら断って、セレナと一緒に居たかったと、シモンは心底後悔した。
「ただい……ま」
戸を開け入ると、やはり返事はなく、暗い室内にはシモンの靴音だけが響く。
普段は居間として使っている客間の、椅子の上にコートを脱ぎ捨てると、テーブルの上に書き置きされた羊皮紙が見えた。
明かりを灯す間も惜しく、暗闇に慣れた目を凝らして、インクの形を何とか読み取る。
『親愛なるシモンへ――
今日は、立食会おつかれさま。
偉い人たちの中にいるのは、大変だったでしょう。
ごめんね、先に寝ています。
朝には、一緒にミサへ行きましょうね。
――セレナ』
傍にはちいさな包みがあり、開くと床に何かがコツン、と当たる音がした。
落としてしまったのだと気づき、暗い床を手探りする。冷たい木をなぞる指先に、鎖のようなものが触れた。
拾い上げてみれば、それはチェーンのついた首飾りで、小さなクロスがあしらわれている。
それが自分への贈り物だと気づいた時、頬を熱いものが伝った。
(すまん……すまん、セレナ)
贈り物を添えて、わざわざ紙に労わる言葉を書き置いてくれたことに、シモンは低く嗚咽を漏らす。
怒ったり拗ねたりせず、ただ自分を信じて待っていたという事実が、疲弊した心を大きく揺さぶった。
せめて、明日はセレナと一緒に居てやりたい……今から寝て、朝のミサに間に合う気はしなかったが、意地でも起きなければ、と心に決める。
涙を拭い去り、首飾りを手紙の上にそっと置く。
窮屈な礼装を脱いで、潜り込んだ布団はひやりと冷たく、冬の夜の匂いがした。
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ゲームを遊んだり、絵を描いたり、色々考えるのが好き。このブログは備忘録として使っています。
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