月風魔伝その他、考察などの備忘録。
皆さまこんばんは、九曜です。
今回アーカイブのお話なんですが、HDDの整理中に見つけたもので、私が普段なかなか題材にしないバイオ・ジェスターの話となっております。
『毒も返せば薬となる』という話で、いちおう公開済みなので読んだことのある方もいるかもしれませんが、良かったらお読みください。
このモンスター、そういえばAC版オレカ終了までに育成しきれなかったので、オレカバトル2でまた実装されることがあったら、再度育成してみたいと思っています。
今回アーカイブのお話なんですが、HDDの整理中に見つけたもので、私が普段なかなか題材にしないバイオ・ジェスターの話となっております。
『毒も返せば薬となる』という話で、いちおう公開済みなので読んだことのある方もいるかもしれませんが、良かったらお読みください。
このモンスター、そういえばAC版オレカ終了までに育成しきれなかったので、オレカバトル2でまた実装されることがあったら、再度育成してみたいと思っています。
毒も返せば薬となる
毒というものの性質を、正しく知る者はどれほどいるだろうか?
自分にしてはらしくもない、深刻なこと考えちゃって、と自嘲するように、バイオ・ジェスターは口をちいさく開く。
生き物を侵し、そのはたらきを止めたり鈍らせ、時には死に陥れるもの。
それを恐れる者は皆、毒を使いこなすのではなく、回復・治癒することに重きを置く。
「結局、キラワレモノ、なんだよね」
どうして自分の力は、この人が嫌がるものに対して、開花してしまったのだろう。
めんどくさそうに足を大地に投げだして、背中を枯れた大樹の幹に預ける。
カツオノエボシという愛称の帽子を深く被ったその奥で、静かに、目を閉じる。
忘れることのできない過去の記憶が、瞼の裏で鮮やかに踊った。
迫り来る魔物。傷ついた旅の仲間。
過日の自分が杖に祈りを込める姿を見て、今の自分が叫び出しそうになる。
(ダメだ! その魔法は――)
紫の泡が宙に弾けるバイオレット・ポーションによって、仲間は力がみなぎったように見えた。
しかし、戦いが終わると同時に膝をつき、その場に崩れ落ちた。
どうしたんだ、と驚きながら歩み寄る、昔のちいさな自分。
仰向けにした顔の青さが、そっくりそのまま映ったように、さあっと血の気が引いてゆく……
「――うおっ!?」
不意に、頬をべしっと何かに叩かれる感触があって、現実に引き戻された。
それは子供のドラゴンのようで、しかし見た目は腐肉のついた竜骨が動いているようにしか見えない。
小竜は何をかうるさく鳴きながら、しきりに爪でバイオ・ジェスターの服や帽子を引っ掻いてくる。
「ちょっ、おい、やめろって! 何なのお前!」
この大きさの魔物なら、低級の魔法でも追い払えると考え、咄嗟に傍に置いていた杖をひっ掴む。
「アシド!」
紫の泡がぶわっと湧き立ち、骨でできた小竜をぽこぽこ包み込んだ。
これで退散してくれるかと思いきや、小竜はぎゃあぎゃあとますます激しく鳴き、こちらに飛び込んできた。
尻もちをつく。慌てて両腕で顔を庇ったが、先のようなツメの一撃もなければ、噛みつかれるようなこともない。
疑問に思って、視線を落とす……どうも膝の上が居心地がいいらしく、小竜はごろごろと子犬のようにそこでじゃれていた。
「あ、そうか。もしかして、アンデッドなんだ……」
人ならば誰もが恐れる毒は、アンデッドにとっては命の水だ。
既に死した肉体をさらに腐敗させるそれは、アンデッドとしての力をますます高めてくれるらしい。
もっとも、アンデッドではないバイオ・ジェスターに、それ以上のことはわからない。
異様な空気の中、何となく手持ち無沙汰なのもあって、杖を持っていない方の手で頭を撫でると、ごつごつした骨の感触があった。
「はは……オレ、アンタの仲間じゃないんだけどねぇ」
お世辞にも、アンデッドは見た目良いとは思えず、知能のないものは見境なく襲ってくるしで、好意的にはとらえきれない。
でも、もしかしたら、この世界でなら自分の本来の力を「活かせる」かもしれない。
かつて仲間を毒に侵した妙薬も、アンデッドに使うのならば、何を躊躇うこともないのだろうと。
「アンデッドねぇ……ま、ちょっと考えてみるか」
どこぞの大陸に、アンデッドの巣窟となっている場所があったはずだ、と思い出す。
長旅なんて面倒臭い、などと考えながら、バイオ・ジェスターはふらりと立ちあがった。
膝上から転げ落ちた小竜が、異議を唱えるようにやかましく鳴くのをBGMに、歩き出す。
晴れの続いた空は、薄ぼけた青さを保つばかりだったが、それでも今のバイオ・ジェスターにとっては、何となく清々しいものに思えた。
++++++++++
というわけで、毒を扱う魔法使いの哀愁と、その行き先の話でした。
自分の先天的な才能が「人の嫌がるもの」についてずば抜けていたら…という前提で、話を進めていますが、毒にも使い道はあるようです。オレカバトルなら。
ちなみに私がオレカの話を書く際に、ゲーム本編に登場した技や属性を活用したがるので、今回はバイオレット・ポーションで回復毒を与えるだとか、アシドがアンデッドには逆効果だとかいうところを取り入れてみました。
あと、ネクロちゃんはかわいいと思います(メインで育ててたドラゴンの一匹)
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